SSD徹底比較バナー

SSDの性能は書き込み履歴、負荷とともに変化する

SSDが登場してから、PCストレージの性能は大きく進化し、SATAインターフェースにおける各社の製品は、インターフェースそのものの性能の限界値である6Gb/s(実行転送速度4.8Gb/sまたは600MB/s)に迫り、更なる高速化はインターフェースの進化をなくして困難であるようにも見えます。であるとすれば、SSDの選択は、カタログ性能で高いリード・ライト性能を満たしさえすれば、より低価格なものを購入すればいいということになります。果たしてそれは本当なのでしょうか?

SSDを使われるユーザー様から「買った当初は速かったのに、最近は遅く感じる」など性能の変化についてご指摘を受けることは少なくありません。その要因として、OS上に常駐するソフトが増えることも1つの要因ではありますが、SSDについては、その性能が状態によって変化するという点があげられます。SSDのデータ保持には、NANDフラッシュメモリが使われており、そのNANDフラッシュの特性によって、次のような特徴があります。

    1. 時間とともに性能が変化する
    2. 書き込みの履歴によって性能が変化する
    3. ドライブにかけられている負荷によって性能が変化する

つまり、SSDの性能は使用するごとに変化し、残念ながらそれは使えば使うほど、低下していく傾向にあります。「最近遅くなったように感じる」は、まさにこのSSDの特性による、性能低下が起きているからです。この性能低下の度合いは、同じようなカタログ性能を持つSSDでも、大きく異なり、本当に長く使い続けられるSSDの選択には、基本性能が高いことに加えて、性能低下が低いものを見つけることが重要です。

では、その性能安定性の比較はどのようにすればよいか、本企画では、売れ筋SSDをピックアップし、1台あたり24時間という長い時間をかけて、実使用時に近い状態での性能を比較します。是非、SSD選びの参考指標としてください。

SSDの定常状態(Steady State)とは

SSDの性能は新品で書き込み履歴がないとき(開封後未使用)が最も高く、時間ともに性能がより低く安定した定常状態に移行します。実ユースにおいては、この状態が最も長く、SSDの性能を評価する上では、この定常状態の性能を測定することが重要とされています。

状態によるSSDの性能

テストを行った製品

本企画ではバリュークラスからハイエンドに位置付けられるものまで、下記の売れ筋SSDをピックアップし、テストします。チャネル数の違いによる性能差が出ないように、容量帯は240GB~256GBのものを使用しています。各製品のメーカー公称スペックは下記の通りです。(メーカー名/型番、昇順)

メーカー/型番 シーケンシャルリード シーケンシャルライト ランダムリード ランダムライト
ADATA SP600 256GB 550MB/s 430MB/s 76,000 IOPS 73,000 IOPS
CFD CSSD-S6T256NHG6Q 256GB 530MB/s 490MB/s 96,000 IOPS 67,000 IOPS
Crucial BX100 250GB 535MB/s 370MB/s 87,000 IOPS 70,000 IOPS
Crucial M550 256GB 550MB/s 500MB/s 90,000 IOPS 80,000 IOPS
Crucial MX100 256GB 550MB/s 330MB/s 85,000 IOPS 70,000 IOPS
Crucial MX200 250GB 555MB/s 500MB/s 100,000 IOPS 87,000 IOPS
Intel SSD 535 240GB 540MB/s 490MB/s 41,000 IOPS 80,000 IOPS
Intel SSD 730 240GB 550MB/s 270MB/s 86,000 IOPS 56,000 IOPS
Kingston SSDNow V300 240GB 450MB/s 450MB/s 85,000 IOPS 43,000 IOPS
Samsung 850 Evo 250GB 540MB/s 520MB/s 97,000 IOPS 88,000 IOPS
Samsung 850 Pro 256GB 550MB/s 520MB/s 100,000 IOPS 90,000 IOPS
SanDisk Extreme Pro 240GB 550MB/s 520MB/s 100,000 IOPS 90,000 IOPS
SanDisk Ultra2 240GB 550MB/s 500MB/s 91,000 IOPS 83,000 IOPS
Transcend SSD370 256GB 570MB/s 310MB/s 75,000 IOPS 75,000 IOPS

測定環境

本テストは以下の環境で行っています。

CPU : Intel Core i7-4790K
マザーボード : ASUS Z97M-PLUS
メモリ : PC1600 DDR3 8GB (4GB×2)
OS : Microsoft Windows 8.1 Professional Edition
起動ディスク : SanDisk Extreme Pro SSD 240GB

購入直後の状態ではあまり性能差が見られず

SSDの性能は、ご購入いただいた直後(Fresh-Out-of-the-Box)が最も高い状態にあります。いわゆるカタログ性能はこの状態での性能であり、SSDについての多くの比較が、この状態の性能のみで行われているケースも少なくありません。
まずはCrystalDiskMarkを使用して、それぞれの購入直後の性能を比較してみます。

CrystalDiskMarkによるテスト

各製品、箱から出してすぐの状態で、CrystalDiskMarkを実行します。OSの[電源オプション]→[プロセッサの電源管理]→[最小のプロセッサの状態]はOSデフォルトの5%のままで実行しています。バラ付きの対策として、各製品3回測定し、その平均値を記録しています。

CrystalDiskMark結果

シーケンシャルリードについては、ほぼ全ての製品で500MB/秒前後の性能が出ており、ライトも速いもので同様に500MB/秒前後と、この結果だけを見ると、単純にこのベンチマークの結果で上位のものをピックアップし、後はご予算と相談しながら、製品選択を行えばいいように見えます。

次に購入直後から実ユースにかけたシミュレーションをしながらの、SSDの性能変化を見ていきます。

購入直後の状態から定常状態にかけた、SSDの性能評価

「購入直後の状態」はまさしく購入した直後でしかなく、実際は皆さまが使われる残りの長い期間(定常状態)の性能がどうなのか、評価する必要があります。本テストでは、PCMark 8のConsistency Testを使用し、SSDの購入直後に近い状態から定常状態までのSSDの実使用環境での性能を評価します。

PCMark 8 Consistency Testとは

SSDの状態による性能を評価する方法として、様々なソフトウェアが用意されておりますが、ここではFuturemark社によるベンチマークプログラム、PCMark 8のProfessional Editionに付属する、Consistency Testを使用します。SSDの性能安定性を測定するツールとして、広く利用されているベンチマークプログラムの1つとなります。

PCMark 8

PCMark 8 Consistency Testでテストされるアプリケーション

Adobe

Microsoft

Game

PCMark 8 Consistency Testにおける、SSD性能の測定方法

Consistency Testでは以下の5つフェーズでSSDの状態を意図的に変化させます。性能測定はDegradation、Steady State、Recoveryの3つのフェーズで行われます。テストは1台あたり半日から1日かけて行われます。

テストフェーズ

Preconditioning

ランダムにドライブ総容量に値するデータを128KB単位で書き込み
上記を2回繰り返すことでオーバープロビジョニング領域に対する十分書き込みを確認

Degradation

SSDに対して、1サイクル10分で4KB-1MBのランダム書き込みを行い、その後に1回ずつのアプリケーションテストを実行(計8回)
サイクルごとに5分ずつ事前書き込み時間を延長(10分、15分、20分・・・45分)

Steady State

45分間4KB-1MBのランダム書き込みを行い、アプリケーションテストを実行(計5回)
実使用に近い、いわゆる定常状態を示す

Recovery

削除済みの古いデータを消去するために(ガベージコレクション)、5分間隔でアイドル時間を置き、アプリケーションテストを実行(計5回)

Clean Up

全容量に対して128KB単位のゼロ書き込みを実行

テスト後半=購入直後に近い状態

Recoveryフェーズでは、SSDをアイドリングさせ、テストの都度削除されるデータの消去(ガベージコレクション)を行いますので、このフェーズが進むにつれて、SSDがより綺麗な状態、つまり購入直後に近い状態に近づくと解釈することができます。

測定結果

PCMark 8のConsistency Testでは、PrimaryとSecondaryの2つのスコアが出力されます。以下ではそれぞれの結果を見ていきます。

Primary スコア(全てのアプリケーションで平均的に速く、かつ性能低下が少ないほど高い)

全テストを通じて記録される最も低い性能がそのままスコアとなります。よって、全てのアプリケーションで平均的に性能が高く、テスト中の性能低下が少ないことが高いスコアを出すための条件といえます。

Primary Score

Primaryスコアを見ることで、最低性能値は分かりますが、これだけでは性能の安定性は評価できません。次にSSDの状態による性能の変化を見ていきます。

Secondary スコア

Degradation~Recoveryの各状態中のアプリケーションの読み書き時の転送レート、ウェイトを含めたアクセスタイムを計18点で測定します。これにより、SSDの書き込み履歴や、負荷による性能の偏移を確認し、製品の性能安定性を評価します。ここでは、本テストで最も重い、Photoshop Heavy Traceの転送速度、アクセス時間とビジータイムの結果を見てみます。

Consistency Test Photoshop Heavy Bandwidth 全ての状態で安定した性能を見せるExtreme Pro

Consistency Test Photoshop Heavy Total Access Time

高負荷時のアクセスタイムは体感できるほどの差

グラフ上でテストの進行は左から右となりますが、上記の通り、Recovery Stateが進むにつれて、購入直後に近い状態となりますので、右から左が実ユース上でSSDが見せる性能の偏移を表しているといえます。多くのSSDでは一番右の"購入直後に近い状態"で最も性能が高く、負荷、データ量とともに性能の低下がみられます。

高負荷時における性能差がどの程度のものか、転送レートのみを見た場合ではあまり分からないかもしれませんが、アクセスタイムやビジータイムを見ると、その差は数秒〜1,000秒以上と、実使用においても体感できるほど大きな差となります。

SSDの状態ごとの、総アクセス時間の線グラフをレーダーチャートに展開します。これにより、より視覚的に製品の性能安定性を比較することができます。

PCMark 8 Consistency Test Photoshop Heavy Trace 総アクセス時間 (大きいほど速く、円いほど安定している)

CFD S6T256NHG6QCrucial BX100Crucial M550Crucial MX100Crucial MX200Intel SSD 535Samsung 850 EvoSamsung 850 ProSanDisk Extreme ProSanDisk Ultra2Transcend SSD370

レーダーチャートでは、より真円に近く、より大きな円であることが、安定して高い性能であることを意味します。多くの製品で、Recovery State (購入直後に近い状態)においてより高い性能が出る傾向が確認できます。注目すべくはインテルのSSD 535とサンディスクのExtreme Proの2製品で、ほぼ全域で同じパフォーマンスを維持していることが確認できます。

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圧倒的な性能安定性を見せるSanDisk Extreme Pro

SanDiskのハイエンドクラス、Extreme Pro SSDは昨年の発売時から、高い性能安定性を売りにしてきましたが、今回改めてそれが確認できる結果となりました。あらゆる状態において、高い安定性能を見せ、状態別の性能値をレーダーチャートに展開すると、どのアプリケーションにおいても驚くほどの真円を形成します。高い基本性能と安定性、加えて10年という長い保証期間を加味した製品バランスは他の製品の追従を許しません。満場一致で本企画のベストバイとなります。同じく10年保証のサムスンの同等クラス製品、850 Proも高い性能が出ており、3D V-NANDという新しい技術を採用していることより、次世代感も高い製品ですが、それでもExtreme Proの安定性には一歩及ばない結果となりました。

Best Buy Extreme Pro 圧倒的な安定性能を見せるExtreme Pro

 

Extreme Proの全アプリケーションの総アクセス時間 (大きいほど速く、円いほど安定している)

今一度、Extreme Proのテスト結果を全てのアプリケーションで見てみます。Adobe系のソフト、オフィスからゲームまでの全てのレーダーチャートで真円に近い性能グラフを形成していることが確認できます。

Extreme Pro All Tests

全てのアプリケーションにおける、Extreme Proの総アクセス時間
その圧倒的な安定性能には、850 ProもSSD 535も及ばない

カタログスペックだけでは性能は測れない(インテル SSD 535)

例えば、CrystalDiskMarkにおけるインテルのSSD 535は、テストを行ったSSDの中で最下位のスコアを記録した一方で、PCMark 8によるConsistency Testの多くのアプリケーションで、Extreme Proに次ぐ性能を発揮しており、より実ユースに近い使用環境では、非常に高い性能を持っている製品であることが確認されます。負荷を与えていない状態のテスト、またはカタログの性能のみでは、実際の使用時の性能が測れないと言えそうです。

いかがでしたか?カタログ性能がほぼ同じSSD同士でも、SSDを使用していく過程の様々な状態において、その性能の変化の特性は大きく異なることが確認できました。多くの製品レビューが購入してすぐの性能測定によって行われているのが実態ですが、よりよいSSD選びには、実際に使用している状態を想定した性能比較が重要です。本企画によって、皆様のSSD選びの1つの基準となる指標をご提供できれば幸いです。